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父の入院 3(また前回の続き)

前回の続き

 

何とかベッドを見つけた由美ちゃんと私が実家まで運ぼうとすると、なんと貸しトラックが借りられないことが判明いたしました。

レジでお支払いは済んだものの、

『一体、どうすればいいの?』私たちはベッドの大きな段ボールを前にして呆然としました。

しかしそんな悠長な時間はありません。

「お姉さん、何とか私の軽に押し込んでみます!」由美ちゃんはきっぱりと一大決心のように言います。

しかし私は半分絶望的な気分で台車を押して駐車場へ向かいました。

ああ、暑い。もう7時になるのに外は茹だるような暑さです。由美ちゃんが軽自動車の後部を開けます。私が台車を寄せます。

どう見てもベッドの段ボール箱の幅が車の幅と同じか、車よりも大きそうです。倒した横向きでは入らないのは明確です。

しかし縦の長さも車高と比べると微妙なのです。それに車内には驚くほどたくさんの物が散乱しています。

『なぜに普段からもっと整理整頓しておかないのだ!』私は急に腹が立ちます。

ベッドの箱は大きいだけでなく30キロもあります。それを二人で持ち上げます。汗が吹き出ます。

『ああ、なんでこんなことに・・・』

立てかけた段ボールの先っぽが車に乗ります。しかし箱の頭が天井につかえて入りません。

「お姉さん、少し斜めにしないと、無理です!」

斜めといっても、この大きさとこの重さ・・・。そして車のスペースの小ささ、散乱した物がとても邪魔・・・。

二人で何度も試みているうちに何とか車に入れられる角度があることが分かってきました。その角度をキープして押します。

車の天井に段ボールがこすれてミシミシ音がしています。『コノヤロウ・・・‼』という感じでねじ込みます。

もう段ボールがヘチャムクレになっても構わない。何としてでも車に納めないと‼

最後の最後に由美ちゃんが体当たりするように大きな段ボール箱を突っ込みました。

大格闘の末、やっとベッドは由美ちゃんの軽自動車に収まりました。後部のドアもきちんと締まります。

二人は汗だくです。やれやれ、です。

さて、実家へ向かいます。休んでいる暇はありません。大至急でベッドを組み立てなければならないのです。すでに8時になろうとしています。ニトリの駐車場で1時間ちかく格闘していたのでした。

実家までは20分ほどです。車内の冷房がきき始めると到着しました。

庭には父の車が止まっています。ベッドは庭に面した大きな窓から入れなければなりません。父の車を移動させるために車のカギを探さねばなりません。玄関にあったはずです。

しかしどこにも無いのです。

由美ちゃんは自分の車を裏の道に停車させているはずです。急いでカギをさがさないと・・・。

父に電話をかけました。父が玄関の小棚の引き出しにあると言うので見ると、やっとありました。

私は急いで由美ちゃんの所へ走りました。フェンスを出て裏へ廻ると、なんと由美ちゃんが一人でベッドの大きな段ボール箱を持ち上げてこちらに歩いて来ます。

私は度胆を抜いてその場に立ちすくみました。

 

次回へ続く