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父の入院6(そろそろ完結?)

前回の続き

 

色々なトラブルがあったものの、父はようやく退院することになりました。

本人は結構こざっぱりした顔をしています。

付き添いの由美ちゃんや私の方が顔色が悪いようです。疲れているのです

車は地下の駐車場です。そこまで5分ほどですが歩かなければなりません。

「車は駐車場か?」父が聞きます。

「そうですよ」

「・・・歩けるかな」

気弱な感じで言います。

ずっと我がままばかり言ってきたのに、と思いましたが、確かに杖をついてようやく歩いているという感じです。

救急車で病院へ運ばれた時は立ち上がることも出来ませんでした。痺れて足に力が入らなかったのです。

慣れない杖をついている父を眺めていると足の運びがおぼつかなくて、今もまだまだ痺れがあるのだと分かります。

突然立てなくなってから2週間程度で立って歩けるようになったのを見ても、父はリハビリの努力をしたのでしょう。以前電話で、病院の廊下をなるべく歩くようにしていると言っていたのを思い出しました。

そういえば、病院でどのような治療を受けていたんだろう、と気が付きました。

父が突然私のスマホに「歩けないんだよお」と訴えてきた時、私はとっさに「風痺不仁」という病名を連想しました。

これは風に当たって痺れて思うように動けないという病気です。

主に足少陽という気の流れの異常です。この気の流れが氾濫している状態です。

私の治療では、足少陽の気を削っていきます。そうすることで氾濫を治めるのです。これがもっとも有効な治療です。しかし病院でそのような治療をするはずはありません。どのような治療をしたのだろうか。結局薬物療法しかないだろうが、痺れを取る薬は無いはずである。

父は途中で2回休みながら駐車場にたどり着き、ようやく由美ちゃんの軽自動車に乗り込みました。

病院で父が使っていたベッドは壁側で、外の景色を見ることが出来なかったそうです。だから外の景色がとても新鮮に感じると言いました。病院から自宅までの10分か15分のドライブが嬉しそうです。

家に着くと父はすぐに新しいベッドに横たわりました。

お昼ご飯はどうしようか。

私は冷蔵庫の中を見ました。2週間誰もいなかったのですから、何もありません。

まず食料を買って来なければなりません。父は料理は得意ですが、台所に立って調理ができるでしょうか。

台所仕事もそうですが、掃除、洗濯などの家事は大丈夫だろうか。お風呂は一人で入れるか。

退院したことで新しい問題が出てきたようです。

とにかくその日はスーパーマーケットでお寿司を買って来ました。

しかし父は食が細くなり、一人前を一度で食べられませんでした。そういえば随分痩せました。

「おとうさん、夕ご飯はどうする?」私が聞くと、

「そんなに食べたくない。お寿司の残りでいいよ」父は力なく言いました。

私は夕方の残暑の中、相模線で帰りました。

 

次回へ続く