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物を食べるという事

私たちは毎日食事をします。
平均1日に3回は食べます。
そして人によりますが1日に1回ぐらい便を排泄します。
この便は食べたもののカスを含んでいますが、100%食べたものかと言えば違います。
腸内細菌の死骸もありますが、私たちの細胞は毎日再生されていますから古い細胞が排泄されているのが大半なのです。皮膚も新しく再生されて古い表皮は垢となって剥がれていきます。
体内で排泄された古い細胞は便となって出されているのです。食べたものはと言えば、翌日には全身に取り込まれて各組織を構成する材料となります。
髪や骨や脳や爪や皮膚や内臓の各所など、まるで単細胞生物のアメーバーがエサを取り込んで細胞内全体に溶け込ませるように、私たちもまるで単細胞生物のように全身に食べたものを同化させているのです。
そうして新しい材料で新しい細胞を次々に構築して古い細胞を回収して排泄しているのです。
一連のこの絶え間ない活動が生きているということです。そしてこの活動の原動力が気の流れなのです。
気の流れは主に12本ありますが、すべてが絶え間なく寸分の狂い無く一定のルートを保って全身を周流しています。
私たちの身体は津液(しんえき)という液体(体温を持った水)の中で浮遊している状態です。
津液は37兆個と言われるすべての細胞を包み込んで一体化させ、一個の人間を作っていますがその内部はとても流動的です。
その津液の塊を一個の人間たらしめているものが気とその流れです。気とは熱気です。
生き物だけが持つ命の火です。
この命の火は先祖から伝えられたものですが、生きていくのに補充が必要です。
補充しなければ寿命まで生きられません。
この気の補充が食べることの一つの意味です。
もう一つの意味は肉体の物理的な維持です。
生命は気と物質から成っています。
気そのものでもなく物質だけでもありません。
食べるということは気と物質の双方を補充することです。
私が伝承した医学は今からおよそ3500年前に著された「素問・霊枢」という医書に基づくものです。
ここでは人を自然現象の一つとして捉えています。
気の流れとは大海の中の潮流のようなものです。
例えば太平洋を周流している親潮や黒潮のようなものです。
また大気中を周流している偏西風のようなものです。
私たちは気で満たされていますがその中に一定の流れがあるのです。
それが主に12本の流れなのです。
そしてこの流れが生命活動の原動力となっています。
親潮や黒潮、また偏西風の流れに異常が起こると地球上に大きな気候変動が引き起こされるように、気の流れに異常が起こると様々な症状が心身に引き起こされます。
すべての病気の原因は気の流れの異常です。
気の流れの異常は気の補充源である食べ物から引き起こされるのが原因の一つ。
もう一つは環境から来る様々な気が身体に滲入することです。
例えば夏のような暑さ(暑気)、冬の寒さ(寒気)、春吹く強い風(風気)、秋の乾燥(乾気)、雨季の湿度(湿気)などです。
気の流れに異常が起きないように努力することは、私たちが心身を健やかに過ごすためには必須なことです。
自然環境を変えるのは難しいですが、毎日の食べ物に留意することは可能です。
食べるという事は肉体の維持だけでなく、気の補充というもっと大切な意味を持つ行為なのです。
何をどのように食べるか、つまり気の補充の仕方によって私たちの心身のありようが決まります。
最近よく青汁という製品を見かけます。
原材料はケール、大麦若葉など色々あるようです。ここに疑問があります。さて、ケールや大麦若葉、お惣菜に使いますか?

私はケールのお浸しや大麦若葉の炒め物など食べたことがありません。
なぜこのケールや大麦若葉が身体に良いのでしょうか。
この問題の根っこには、人を生き物と考えているかいないかという点です。
機械だったらエネルギー源は天然のオイルでも同じ成分で合成した人工オイルでも問題なく動いて仕事をするでしょう。
ケールと大麦若葉の構成成分を調べたら、私たちが日常食べているキャベツやホウレンソウや小松菜などより、ビタミンやミネラルや食物繊維が豊富だからこれで代用できる、いやこちらの方が栄養素が多くて優秀だ、だからこれを飲め、という論法です。
しかし私たちは機械ではありません。同じ栄養素だから食べないものでも体に良いのだ、という考えはおかしいように思います。
ただ物質補給さえしていればいいわけではありません。
もちろん災害時など食べ物が手に入らないような緊急事態であれば必要な時もあるかもしれません。
しかし毎日の生活の中ではどうでしょう。
私たちには食べるという事の中に文化も持っています。
そして最も大切な事は食べるものはすべて生き物であって、食べた生き物から大切な命の火である気を補充しているという事です。
物を食べるという事の難しさ、大切さを考えねばなりません。
特に病気を持っていて苦しんでいたり悩んだりしている人は、毎日の食べるという行為を冷静に考えてもらいたいと思います。
食べるという事で病気を改善させることもできるからです。
自分は何をどのように食べたら良いか考えてみましょう。