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父の入院8(完結はまだ)

前回の続き

 

父は病院から自分の家にもどりました。

するとご飯の支度や洗濯など身の回りの事を自分でしなければならなくなりました。

痺れと痛みがある足を引きずって、時々休みながら、何とか頑張りました。

もともと料理はできましたし、マメな性分なので、よく動いてくれました。2021年2月に母が亡くなり家事を父が切り盛りするようになって、母が家事をしていた時よりも家全体が整理整頓されました。台所もピカピカになりました。母のズサンな性格が明らかになったのは、想定外の出来事でした。

父は足の痺れと痛みに耐えながらも、そのマメな性分を十二分に発揮してくれました。

料理も洗濯も掃除も全部自分でしてくれたのです。

買い物など外出は出来なかったので、それは由美ちゃんが車で代行してくれました。

私は週3回、恐怖の鍼治療をします。

父の体は本当に悪かったのです。足少陽、厥陰、太陰、陽明などの気の流れが爆発寸前だったのです。そのあふれた邪気を取る治療を退院以来ずっと繰り返していました。これが激痛を伴うのです。恐怖の鍼治療なのです。

父は私が行くと暗い顔をしました。

ある日、2か月ほど治療が続いた頃、父が少し明るい顔をして、

「昨日、車に乗ってみた」と、言いました。

「乗れたの?」私が聞くと、

「ああ、なんとかなりそうだ。クラッチも踏めるし」と、笑顔でした。(父の車はマニュアル車です)

「ただ、しばらく乗ってないから、ちょっと練習が必要かな」

それ以来、父は度々運転席に座って様子をみているようでした。車を運転出来るようになれば買い物へ行けるかもしれません。

そうなれば、家の中にずっといるよりも気晴らしが出来て、ストレス発散になるでしょう。とても良いことです。

残暑が納まって空気が冷たく感じられるようになった、10月下旬のことです。私が治療に行くと父が驚くことを言いました。

「昨日、一人で藤沢へ行ってきたよ」

藤沢は茅ヶ崎のお隣の市です。父の姉が住んでいて、伯母さんの家はここから片道20キロぐらいです。その伯母さんの家へ行ったと言うのです。自分で車を運転して。

のっけからそんな遠くへ行くなんて!

私はビックリして思わず、

「大丈夫だったの⁉」と聞きました。

「大丈夫だよ、姉さんは驚いてたけどね。全然、大丈夫」

父は何事も無く言います。

「そうか、そんなに運転できたんだ。良かったね。買い物も出来るようになるね」

足の痺れと痛みはまだまだありますが、若い時から60年以上車に乗ってきたので、勘がよくきくのでしょう。しかし安全確認を徹底的にするようにしなければなりません。父の車はマニュアル車なので急発進は起きにくいですが、それでも心配です。

 

次回へ続く