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父の入院9

前回の続き

 

父は自動車を運転することが出来るようになりました。

まだ満足に歩けないのに車を運転出来るとは、とても不思議なことですが、父の気分は少し前向きになったようです。

週3回の恐怖の鍼治療も続けていますが、以前ほど嫌な顔をしなくなりました。

「これしか治す方法は無い」と、腹をくくったのかもしれません。

ある日の治療の最中、2週間ほどの入院生活でどういう治療をしていたのか、聞いてみました。

すると毎日薬を飲み、マッサージを受けたと言いました。

マッサージは日によって施術者が代わり、メニューは色々だったそうです。

あとは父が自主的に歩く訓練をしたようです。廊下を行ったり来たりしたらしいのです。

しかし詳しく話を聞くと、服用する薬は12種類もあったそうです。

「お父さんは、こんなに薬を飲んで大丈夫なのかと心配になったよ」と、父は眉間にシワを寄せて言いました。

12種類ッ!! 私も驚きました。

そんなに飲んだら、それだけで病気になりそうです。

父が心配になるのも当然です。

薬の説明書も読みました。相当強い薬ばかりです。

神経の過剰な興奮を鎮める薬、

脳の神経を鎮めて不安や緊張を和らげる薬、

痛み、炎症、発熱の原因物質ができるのを抑える薬、

末梢血管を拡げて神経障害による足の痛みやしびれを改善する薬、

痛みに対して過敏になっている神経の状態を改善する薬、

などなどです。

いずれにしても神経をどうにかしたいようです。

退院したばかりの頃、父の右足の甲には強い炎症と腫れが起きていて、父は強烈な痛みがあると訴えていました。

『これは薬害ではないのか?』私は密かにそんな疑問を持ちました。

確かに足少陽や陽明、厥陰などの気が爆発しそうなほど大きな邪気になってはいるものの、そのままにしておけばよかったものを、薬が契機となって、最悪な状態をひき起こしてしまったのではないか?

父も薄々急激な足の痛みは強い薬のせいではないかと考えていたようです。

父は8月13日に緊急入院して26日に緊急退院しました。その約2週間の間ずっと12種類のかなり強い薬を飲んでいたのです。

何か影響があったとしてもおかしくありません。

そもそも痺れを取るような特効薬は無いはずです。

しかし結果が薬のせいであるかどうか今議論しても仕方がありません。

ただただ、治療をして邪気を取っていくだけです。

私は8月下旬から週3回の鍼治療を続けています。

痛がる父を半ば無理やり座らせてやっています。

退院から半年近くになった今、爆発しそうなほど氾濫していた邪気はかなり鎮まりましたが、まだ予断を許さない状態です。

それでも父は足を引きずりながら近くの川へ散歩へ行って気晴らしをしたり、日向ぼっこをしたり、一人でなんとか毎日を過ごしています。

もちろん掃除、洗濯、料理、家事全般も一人でこなしているのです。

私が行くと、やたらと「足が痛い痛い!」と連発したり、「痺れがひどいんだ!」と訴えたりするのも、毎日ほとんどの時間を独りぼっちで病気と向き合うだけの日々のストレスのせいなのだと思っています。

実は二月に入ってから、週3回だった治療を週2回に減らしました。

焦らず、じっくりと治していく方がいいのかな、と思い始めたのです。

「お父さん、じっくりと身体を治していこうね」と、私が言うと、父は、

「お父さんは、足がダメなだけで、身体はゼンゼン問題ないんだ!」

と言います。

しかし、身体が悪いから足がその様なことになってしまっているのです。

足の問題を病気と思っていないところが、父らしいと言えばそうで、そういうところが父のタフさの大元なのかもしれません。

 

次回へ続く